2009年12月25日

No.32

ご無沙汰しております。
2009年も残りわずかとなりました。
今年は「グーグル図書館」問題や国立国会図書館蔵書の電子公開を可能にする法改正が行われ、本をめぐる世界を大きく変えるかもしれない「大地震」の鳴動のように感じました。
あとから振り返れば、2009年が転換点だった−と思うのかもしれません。
古本の世界が今後どうなるのか不安でいっぱいですが、一古本屋は淡々と日々収書にはげむのみです。

今回も補足点をいくつか。

まずは「マイナー文庫」が3点ほど。
「世界名著梗概叢書」は、海外文学のダイジェストもの。「アカギ叢書」の成功を見ての、後追い企画ですね。
大正11年から12年にかけて21冊ほど刊行されたようです。
抄訳文庫が流行するのを憂えた新潮社が、「全訳」を売りにする新潮文庫を創刊するに至るのは皆さん御存知の通り。

「大学書林文庫」は対訳。現在の「大学書林語学文庫」の前身と考えて良いでしょう。
昭和12年創刊で18年にいったん休止。戦後、昭和23年、装いを新たにして再刊されました。
今回御紹介するのは戦後版。

「汎美文庫」は、調べてみたけれどよくわかりません。
昭和23年の奥付で、紙質や製本の悪さから、いかにも「戦後乱立した文庫の一つ」という感じです。

古い文庫、とくに戦前は、刊行途中で打ち切られ、未刊に終わった作品が多いのは皆さんよく御存知の通りですが、世界名作文庫・イバニェスの「黙示録の四騎士」もそのひとつ。
全三巻の予定だったようです。
この作品、戦前と戦後の2回映画化されており、あちらでは結構有名な作品なのでしょうか?
邦訳はこの一冊しかないのが残念です。

第三次新潮文庫・ストリンドベリの「痴人の告白」は珍しい。当店初登場です。
ただ、作品としては山室静の訳もあり、また、この文庫と同じ三井光彌の訳も新潮社の世界文学全集に収められていますけれど。

同じく第三次新潮文庫のトルストイ「幼年・少年」は、珍しくもないおなじみの作品ですが、江馬修の訳はあまりないのでは。
江馬修の翻訳は3点ほどしかないようで、トルストイを訳したのはこの1冊だけです。

河出文庫「にごりえ・たけくらべ」もありふれていますけれど、木村荘八のカバー画がなかなか良いので御紹介したくなりました。 解説は佐多稲子が書いています。

今回も御予約締め切りは27日(日)とし、重複御注文は抽選のうえ、28日に発送いたします。
なんとか年内にお手元にお届けできると思います。

■■■今日の新着品から■■■

ベラミイ(前・後)
モーパッサン
世界名著梗概叢書

黙示録の四騎士 前篇
イバニェス 中山鏡夫訳
春陽堂世界名作文庫

夜ひらく
ポール・モーラン 堀口大学訳
第三次新潮文庫

痴人の告白(上下)
ストリンドベリ 三井光彌訳
第三次新潮文庫

幼年・少年
トルストイ 江馬修訳
第三次新潮文庫

シラー詩集
小栗孝則訳
改造文庫

悪魔の酒(全2)
E・T・A・ホフマン 浜野修訳
改造文庫

密航 他二篇
プリボイ 平井肇訳
改造文庫

戦慄 他
アルツィバーシェフ 昇曙夢訳
創元文庫

太陽は桑乾河を照らす(上下)
丁玲 坂井徳三・三好一訳
青木文庫

山内義雄訳詩集
角川文庫

にごりえ・たけくらべ
樋口一葉 木村荘八画
河出文庫

更生記
佐藤春夫
市民文庫

村山槐多詩集
創元文庫

富永太郎詩集
創元文庫

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